「育成BPO」という言葉を最近見かけるけれど、研修の外注と何が違うのか分からない。

そう感じている方に向けて、この記事では育成BPOが何を引き受けるサービスなのかを、似たサービスとの違いから整理します。


結論:育成BPOは「教える工程そのもの」を外に出すこと

BPOは Business Process Outsourcing の略で、業務のかたまりをまるごと外部に任せることを指します。経理BPO、採用BPOなどが先行して広まりました。

育成BPOは、そのエンジニア育成版です。研修の一部分ではなく、「未経験者を現場に出せる状態にする」という工程ごと引き受けます。

  • 何を、どの順番で学ばせるかの設計
  • 日々の質問対応
  • 書いたコードのレビュー
  • 進み具合の記録と報告
  • つまずいているときの立て直し

この5つは、本来なら社内の先輩エンジニアがやっていた仕事です。
育成BPOを入れる目的は、この5つを先輩の手から離すことにあります。


似たサービスとの違い

「未経験を育てる」ことに関わるサービスは4種類あります。混同されやすいので、違いを表にしました。

種類任せられる範囲期間社内に残る作業
集合研修(外注)決まった内容を一斉に教える数日〜1カ月研修後の指導はすべて社内
プログラミングスクール個人がカリキュラムを進める3〜6カ月案件に合わせた調整は社内
e-ラーニング教材の提供のみ無期限質問対応・進捗管理は社内
育成BPO設計・質問対応・レビュー・報告まで数カ月〜継続月2〜3時間の状況確認のみ

違いは「どこまで任せられるか」です。
集合研修とe-ラーニングは教材を渡すところまでで終わります。一番手がかかるのは研修が終わったあとの日常なので、そこが社内に残ると負担はほとんど減りません。

スクールとの一番の違い

スクールは誰に対しても同じカリキュラムを流します。受講者は「その会社の社員」ではなく「一人の受講生」です。

育成BPOは、その会社がこれから入れたい案件に合わせて中身を変えます。
PHPの案件が多い会社にReactを教えても、現場では使いません。出口(入る案件)から逆算するのが育成BPOの考え方です。

派遣・SESとの違い

混同されることがありますが、まったく別物です。

  • 派遣・SES … 人を借りる(すでにできる人が来る)
  • 育成BPO … 自社の社員を育てる工程を借りる(人は増えない)

育成BPOで増えるのは人数ではなく、自社に残る戦力です。


なぜ今、育成を外に出す会社が増えているのか

理由は3つあります。

1. 経験者の採用が難しくなった

経験者を採ろうとすると単価が上がり、採用競争にも勝てない。
結果として未経験を採って育てる方針に切り替える会社が増えました。ところが、育てる体制がないまま人だけ増えます。

2. 教える側の中堅が疲弊している

未経験1人を育てるために中堅1人が辞めれば、完全な赤字です。
教育負担は、中堅エンジニアが会社を離れる理由の上位に入ります。

3. 育成の中身が属人化している

誰が担当したかで仕上がりが変わる。
これは営業のときに効いてきます。「うちの未経験者はここまでできます」と言い切れないと、提案が通りません。


任せられること・任せられないこと

丸投げできるわけではありません。ここを誤解すると失敗します。

項目誰がやるか
学習内容の設計育成BPO側
技術の質問対応育成BPO側
コードレビュー育成BPO側
進み具合の記録・報告育成BPO側
どの案件に入れるかの判断会社側
評価・給与の決定会社側
本人との関係づくり会社側
社内ルール・業務知識の共有会社側

技術の面倒は外に出せますが、「この会社にいる意味」を作るのは会社にしかできません
ここまで外に出すと、育っても辞めていきます。


向いている会社・向いていない会社

向いている

  • 未経験を採用したが、教える人が現場に出ていて手が空かない
  • 教える人によって仕上がりに差が出ている
  • 先輩が週3時間以上を指導に取られている
  • 育成の進み具合を聞かれても感覚でしか答えられない
  • 採用人数が少なく、集合研修を組むほどではない

向いていない

  • 社内に教育専任がいて、すでに仕組みが回っている
  • 自社独自の業務知識が中心で、技術の比重が低い
  • 採用後すぐ現場に入れる前提で、育成期間を取らない
  • 本人に学ぶ意思がない(外部に出しても変わりません)

費用の考え方

育成BPOの料金は、受講者1人あたりの月額で決まるのが一般的です。
判断するときは、金額そのものではなく「先輩の時間がいくら戻るか」と比べます

単価70万円のエンジニアの時間単価は約4,375円。
月13時間を指導に使っているなら、それだけで約57,000円分の売上が消えています。週3時間強が損益の分かれ目です。

計算の詳細は未経験エンジニアの育成コストはいくらかにまとめました。


よくある質問

Q. 社内に知見が残らないのでは?
A. 月次レポートで「何をどこまでやったか」が文書として残ります。丸投げして中身を見ないと残りませんが、報告を読んで面談に使えば、指導の型そのものが社内に蓄積します。

Q. 何人から頼めますか?
A. 1名から可能です。まず1人で試して、先輩の工数がどれだけ戻るかを見るのが確実です。

Q. どのくらいの期間で現場に出せますか?
A. 本人の学習時間によりますが、4〜6カ月が目安です。期間が延びる原因の多くは能力ではなく、詰まったときに聞ける相手がいないことです。

Q. AIで学習させれば外注は不要では?
A. AIは答えを出しますが、その答えが正しいかを判断できないうちは危険です。使わせ方は新人エンジニアにAIを使わせるべきかで書いています。


まとめ

  • 育成BPOは、教える工程そのものを外に出すサービス
  • 集合研修・スクール・e-ラーニングは教材まで。日常の面倒は社内に残る
  • 案件から逆算して内容を変えられるのが、スクールとの一番の違い
  • 技術は外に出せるが、評価と関係づくりは会社にしかできない
  • 判断の基準は金額ではなく、先輩の時間がいくら戻るか

次に読む記事


AhaGate for Businessは、採用した未経験エンジニアの育成をまるごと引き受けるサービスです。月55,000円/人から、Zoom月360分・コードレビュー・チャット質問対応・月次レポートまで含みます。詳しくはサービスページをご覧ください。