「未経験を採ったが、社内に教える人がいない」
この状態で研修の外注を検討し始めると、最初にぶつかるのが相場が分からないという壁です。
問い合わせないと料金が出てこない会社が多く、比較しようがありません。
この記事では、法人向けプログラミング研修の費用相場をタイプ別に整理し、
SES企業が選ぶときの判断基準と、契約前に聞くべき質問をまとめます。
結論:外注先は3タイプあり、費用構造がまったく違う
| タイプ | 費用の目安 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 集合研修(新人研修パッケージ) | 1人あたり20万〜60万円/3カ月 | 同時期に5人以上まとめて入社 |
| eラーニング・学習サービス | 1人あたり月2,000〜10,000円 | 自走できる人だけ/補助教材として |
| 育成代行(マンツーマン型) | 1人あたり月4万〜10万円 | 1〜3人を随時採用、社内に教える人がいない |
SES企業の場合、採用が随時・少人数なので、集合研修は日程が合わないことが多いです。
結果として、育成代行かeラーニングの二択になります。
タイプ1:集合研修(新人研修パッケージ)
研修会社の会場やオンラインで、決まった期間・決まったカリキュラムを一斉に受けさせる形式です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 1人20万〜60万円(期間・言語による) |
| 期間 | 1〜3カ月が中心 |
| 開始時期 | 4月・10月に集中 |
| 人数 | 最低人数の設定があることが多い |
向いている場合
- 新卒を毎年まとめて採用している
- ビジネスマナーなど技術以外も一緒に入れたい
- 「研修を受けさせた」という対外的な説明が必要
合わない場合
- 中途を随時採用している(開始時期が合わない)
- 1〜2人しかいない(最低人数に届かない)
- 個人差が大きい(一斉授業だと下位が置いていかれる)
SES企業では、3つ目の「置いていかれる」が最大の問題になります。
研修は修了したのに現場では何もできない、という状態が起きるのはここが原因です。
タイプ2:eラーニング・学習サービス
動画教材やオンライン演習を、法人アカウントで契約して受けさせる形式です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 1人あたり月2,000〜10,000円 |
| 強み | 圧倒的に安い。いつでも始められる |
| 弱み | 完走率が低い。詰まると止まる |
安さは魅力ですが、「教材を渡す=育成」ではありません。
未経験者が止まるのは教材が無いからではなく、エラーの読み方が分からないからです。
結局、社内の誰かが質問対応をすることになり、教える側の工数は減りません。
補助教材としては優秀ですが、これ単体で育成計画にするのは危険です。
タイプ3:育成代行(マンツーマン型)
現役エンジニアが受講者に個別につき、学習の進行・コードレビュー・質問対応まで引き受ける形式です。
「育成BPO」と呼ばれることもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 1人あたり月4万〜10万円 |
| 期間 | 月単位。3〜6カ月が中心 |
| 開始時期 | いつでも(1人から) |
| 強み | 個人差に対応できる。社内工数がほぼゼロになる |
| 弱み | 集合研修より1人あたりの月額は高く見える |
月額だけ見ると高く感じますが、期間で区切って総額を比べると印象が変わります。
| 集合研修(3カ月) | 育成代行(月5.5万円 × 6カ月) | |
|---|---|---|
| 外注費の総額 | 20万〜60万円 | 33万円 |
| 研修後のフォロー | なし | 期間中ずっとある |
| 社内の指導工数 | 研修後に発生する | ほぼ発生しない |
| 個人差への対応 | できない | できる |
集合研修は「終わったあと」に社内負担が戻ってきます。
ここまで含めて比べないと、総額を見誤ります。
SES企業が選ぶときの判断基準5つ
1. 案件に合わせて内容を変えられるか
自社の主戦場がPHP/Laravelなのに、研修がJavaだけ、という不一致はよくあります。
「うちの案件はこの技術です」と伝えて、内容を寄せられるかを必ず聞いてください。
2. 教えるのが現役エンジニアか
講師が専任の研修講師だと、教科書の内容はきれいに教えられますが、
現場のコードレビューや設計の判断は教えられません。
SESで求められるのは後者です。
3. 進捗が数字と文章で見えるか
営業が案件を探し始めるタイミングを判断するには、今どこまでできるかの情報が必要です。
月次レポートがあるかどうかで、待機期間が変わります。
4. 途中でやめられるか
受講者が早期離職した場合、契約が残ると丸損です。
月払いができるか、最低契約期間は何カ月かを確認してください。
5. AIの扱いを決めているか
ここは今、研修会社によって方針が真っ二つに割れています。
「禁止」も「自由に使わせる」も、どちらも問題が起きます。新人エンジニアにAIを使わせるかで詳しく書きました。
契約前に必ず聞くべき質問リスト
そのまま使えるように、質問形式でまとめました。
- 教えるのは誰ですか。現在も開発の現場にいますか
- 1人あたり、月に何時間の直接指導がありますか
- コードレビューはありますか。何往復まで見てもらえますか
- 質問はいつでもできますか。返答までどのくらいかかりますか
- 進捗の報告は、どの粒度で、どのくらいの頻度でもらえますか
- うちの案件で使う技術に合わせられますか
- 最低契約期間と、途中解約の条件を教えてください
- 受講者が辞めた場合、どうなりますか
- 初期費用・教材費など、月額以外にかかるものはありますか
- 生成AIの使用について、どういう方針ですか
特に2番と3番で差が出ます。
「サポートあり」と書いてあっても、実際は月1時間ということがあります。時間数を数字で確認してください。
よくある失敗パターン
| 失敗 | 何が起きるか |
|---|---|
| 安さだけで学習サービスにした | 3週間で止まり、結局社内で教えることになる |
| 研修を修了させることが目的化した | 修了証は出たが、現場で1行も書けない |
| 技術が案件と合っていなかった | 研修内容がそのまま使えず、入場後にやり直し |
| 進捗が見えず営業が動けなかった | 準備はできていたのに待機が2カ月延びた |
| 年間契約にした直後に受講者が辞めた | 使わない枠に払い続ける |
よくある質問
Q. 相場より安い会社は避けたほうがいいですか?
A. 安いこと自体は問題ありません。ただし直接指導の時間数を必ず確認してください。安いサービスは、教材提供のみか、指導時間が極端に短いことが多いです。
Q. 何カ月で現場に出せますか?
A. 未経験からだと、簡単な改修に入れるまでが3〜6カ月というのが現実的な線です。1カ月で戦力化を謳うサービスは、内容を疑ったほうがいいです。
Q. 内製に戻すことはできますか?
A. できます。むしろ、レビューの観点やカリキュラムを社内に残しておくと、2人目以降を内製化しやすくなります。丸投げにせず、月次レポートを社内で共有してください。
Q. メンタル面のフォローも頼めますか?
A. サービスによります。AhaGate for Businessでは、メンタルケア心理士による月120分の面談を含むプラン(月70,000円/人)を用意しています。
まとめ
- 研修の外注先は、集合研修・eラーニング・育成代行の3タイプ
- 随時採用・少人数のSES企業には、集合研修は日程と個人差の面で合いにくい
- eラーニングは安いが、質問対応が社内に残るため工数は減らない
- 比較するときは月額ではなく、研修後の社内負担まで含めた総額で見る
- 契約前に「直接指導の時間数」と「解約条件」だけは必ず数字で確認する
次に読む記事
AhaGate for Businessは、1名・月55,000円から使える育成代行サービスです。現役エンジニアがZoom月360分・GitHubのプルリクエストレビュー・チャット質問対応を担当し、月次で育成レポートを提出します。詳しくはサービスページをご覧ください。