未経験者に何を、どの順番で教えるか。
ここを場当たりで決めると、半年たっても案件に出せません

この記事では、SES・受託の会社が自社でカリキュラムを組むときの考え方と、6カ月分の具体的な流れをまとめます。


結論:カリキュラムは「入る案件」から逆算して作る

やってはいけないのは、流行っている技術から決めることです。

自社の案件がPHPとLaravelなのに、Reactを3カ月やらせても現場では使いません。
順番はいつでも同じです。

  • ① 半年後に入れたい案件を1つ決める
  • ② その案件で実際に使われている技術を書き出す
  • ③ それを学ぶために必要な土台をさかのぼる
  • ④ さかのぼった順に並べ直す

これだけです。出口が決まっていないカリキュラムは、必ず途中で迷子になります。


順番を間違えるとどうなるか

よくある失敗が、フレームワークから入ることです。

Laravelは書く量が少なくて済むので、最初から触ると早く形になります。
ところが土台がないまま進むと、エラーが出た瞬間に何も分からなくなります。フレームワークが裏で何をしているかが見えないからです。

順番3カ月後の状態
フレームワークから入るチュートリアルは作れるが、エラーで完全に止まる
素の言語から入る進みは遅いが、自分で原因を探せる

現場で価値があるのは後者です。
前者は「動くものは作れるが、動かないものを直せない」状態で、案件に出せません。


6カ月のロードマップ

PHP・Laravelの案件を想定した例です。言語が違っても考え方は同じです。

時期学ぶこと到達目標
1カ月目HTML / CSSデザイン画どおりに画面を作れる
2カ月目JavaScript の基礎ボタンで表示が変わる処理を書ける
3カ月目PHP の基礎、データベースフォームの内容を保存・表示できる
4カ月目Laravel の基礎一覧・登録・編集・削除を作れる
5カ月目Git、チーム開発の流れブランチを切ってレビューを受けられる
6カ月目小規模な実務課題仕様を読んで自分で作れる

3カ月目が最大の山

脱落者がもっとも出るのがここです。
画面を作る(目に見える)作業から、データを扱う(目に見えない)作業に変わるためです。

ここは手を動かす量より、説明させる量を増やします
「このデータはどこから来て、どこに保存されますか」を口で言えるようになれば越えられます。

5カ月目のGitを飛ばさない

技術のカリキュラムでは後回しにされがちですが、現場で最初に困るのがGitです
コードが書けてもブランチ操作ができないと、チームに入った初日から手が止まります。


月ごとの目標の決め方

目標は「〇〇を学ぶ」ではなく、「〇〇が作れる」で書きます

悪い書き方良い書き方
PHPを理解する問い合わせフォームを作り、内容をDBに保存できる
Laravelを学ぶユーザー一覧に検索機能を追加できる
Gitを覚えるブランチを切って、プルリクエストを出せる

「理解する」は誰も判定できません。
作れるかどうかなら、その場で確認できます。 判定できない目標は、無いのと同じです。


教材はどう選ぶか

  • 1冊を最後までやらせる(複数を並行させない)
  • 写経で終わらせず、そのあと自分で1つ作らせる
  • 動画教材は進んだ気になりやすいので、必ず手を動かす課題とセットにする
  • 公式ドキュメントを読む練習を早めに入れる

教材の良し悪しより、1つを終わらせる経験のほうが大事です。
途中で別の教材に移る癖がつくと、どれも中途半端になります。


自社で組むのが難しい場合

カリキュラムを作ること自体は、1回やれば終わります。
大変なのは作ったあと、毎日それを回すことです。

  • 進んでいるか確認する
  • 詰まっている場所を聞き出す
  • 書いたコードを見る
  • 遅れているなら組み直す

ここに毎月20時間かかるなら、外に出したほうが計算上は安くなります。
損益の分岐点は育成コストの記事で計算しています。


よくある質問

Q. 6カ月より短くできますか?
A. 学習時間を増やせば短くなります。1日8時間確保できるなら4カ月でも届きます。ただし詰め込むと定着しません。

Q. 業務と並行させてもいいですか?
A. 可能ですが、テスト工程などの単純作業に長く滞留すると、そのまま伸びなくなります。SESで未経験者が案件に入れない理由を参照してください。

Q. AIに教えてもらう形ではだめですか?
A. 答えは返ってきますが、その答えが正しいかを判断できない段階では危険です。使わせ方は新人にAIを使わせるべきかにまとめました。


まとめ

  • カリキュラムは、半年後に入れたい案件から逆算して作る
  • フレームワークから入ると、エラーで完全に止まる
  • 3カ月目のデータベースが最大の山。説明させる量を増やす
  • Gitを後回しにすると、現場の初日で手が止まる
  • 目標は「学ぶ」ではなく「作れる」で書く

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