ChatGPTを使い始めてから、学習が一気にラクになった。
でも同時に、こんな不安はありませんか。

「これ、自分の力になっているんだろうか」

先に言っておくと、禁止する話ではありません。僕も実務で使っています。

ただし正直に書くと、今でもほとんどのコードは自分で書いています。AIに任せるのは、あとで書く限られた場所だけです。

そして僕自身が転職活動をしていた期間は、AIを使ってコードを書いていません。今の使い方は、実務に入ってから身につけたものです。

だからこの記事は「AIなしで転職した人間が、実務でAIを使ってみて分かったこと」として読んでください。
まず、現場でどこまでAIに任せて、どこを自分でやっているかから書きます。


現場では、ここまでAIに任せています

抽象的な話をしても仕方ないので、僕が今の仕事でやっている線引きをそのまま出します。

内容
AIに書かせる機械的に書き換えられるところ
一度実装した内容と同じところ
シーダー(テスト用データの作成)など
デザインやHTML(誰が書いても同じ結果になるところ)
自分で考える基本的な構成
DB設計
それ以外のほとんどのコード

この線がすべてです。

「誰が書いても同じになるところ」はAI。「これから決める判断」は自分。

たとえばシーダーは、テスト用のデータを大量に用意するだけの作業です。
ここに時間をかけても、実力にも成果にもつながりません。だからAIに任せます。

デザインやHTMLも同じです。結果が変わらない部分なので、書かせています。

一方でDB設計は絶対に自分でやります。
ここを間違えると、あとから全部作り直しになるからです。そして間違えたときに責任を取るのは、AIではなく自分です。


学習中の人が危ないのは、ここが逆になること

学習中の人を見ていると、逆になっていることがあります。

  • DB設計やアプリの構成をAIに考えてもらう
  • 出てきたコードを、そのまま貼る

これをやると、いちばん力がつく部分を全部AIに渡していることになります。

しかも困ったことに、アプリはちゃんと動きます。
動くから、できているつもりになる。ここが一番こわいところです。


依存チェックリスト(5項目)

#チェック項目
1エラーが出たら、まずエラー文をコピーしてAIに貼っている
2返ってきたコードの意味を、行単位で説明できない
3AIが使えない状況(面接の技術課題など)を想像すると不安になる
4DB設計やアプリの構成をAIに決めてもらっている
5自分のポートフォリオのコードで、説明できない箇所がある
  • 0〜1個:健全です。そのまま使い続けて問題ありません
  • 2〜3個:黄色信号。使い方を少し変えるべきタイミングです
  • 4〜5個:赤信号。このままだと面接で崩れます

面接では「押したらどうなるか」を聞かれます

なぜ説明できることが大事なのか。僕の失敗談を書きます。

当時のポートフォリオは自問自答クイズアプリでした。AIがない時代なので、自分で全部書いています。
それでも面接でこう聞かれて、答えられませんでした。

このボタンを押したら、どうなっているんですか?

あれは画面読み込みのぐるぐる(ローディング)について聞かれていました。
でも僕は「ルートからコントローラーで…」という話しかできなかったんです。

自分で書いたコードですら、説明できないことがあります。
AIに書かせたコードなら、なおさらです。

面接官はコードを隅々まで読みません。その代わり、動きについて質問してきます。
そこで詰まると、「この人は自分で作っていないな」と判断されます。


なぜ依存が起きるのか(あなたのせいではない)

ChatGPTは、質問すれば必ず答えを返します。しかも、たいてい動くコードが返ってきます。
一方、人間の先生は「まず自分で考えてみて」と言います。どちらがラクかは明らかです。

つまり、依存は意志の弱さではなく、道具の性質から自然に起きるものです。
だから、意志ではなく「ルール」で防ぐ必要があります。


依存から抜け出す5つのルール

ルール1:構成とDB設計は、絶対にAIに渡さない

これが一番大事です。現場の線引きをそのまま持ち込んでください。

  • どんなテーブルを作るか
  • どのテーブルとどのテーブルがつながるか
  • どの画面で何をするか

ここは紙に書いてから作り始めてください。面接で聞かれるのも、まさにここです。

ルール2:学習中は「エディタに入れないAI」を使う

これは、けっこう効きます。

学習中や転職活動中は、VSCodeにAIを組み込むのではなく、ブラウザのAIをコピペで使ってください。

何が起きるか
エディタに組み込むタイプその場に勝手に書き込まれる。理解していなくても進んでしまう
ブラウザ版をコピペどのファイルのどこに貼るかを、自分で決めないといけない

この差は大きいです。

ブラウザ版だと、返ってきたコードをどこに置くのか自分で判断する必要があります。
つまり、ある程度は全体の流れを理解していないと、完成までたどり着けません。

面倒に感じるかもしれませんが、この面倒さがそのまま練習になります。
「どこに何を書けばいいか分からない」で止まる人がとても多いので、ここを鍛えられるのは大きいです。

エディタに組み込むのは、実務に入ってからで十分間に合います。

ルール3:書いてもらうときの「指定」を変える

AIに書いてもらうこと自体は問題ありません。頼み方を変えてください。

「初学者が読めるコードで」と必ず指定する

何も言わないと、AIは短くて賢い書き方をしてきます。
それが読めないまま貼ると、自分の作品なのに自分が読めないコードができあがります。

だから最初に「初学者が読めるコードで書いてください」と指定します。
この一言があるだけで、返ってくるコードがまったく変わります。

自分が書いたコードを参照させる

これはかなり効きます。

すでに自分で書いた部分をAIに見せて、「この書き方に合わせて書いてください」と頼んでください。

そうすると、全体の書き方が揃います。
添削していると「他は初学者らしい書き方なのに、一部だけ急に整いすぎている」作品によく出会いますが、これをやるとその不自然さが消えます。

分かるまで質問しまくる

返ってきたコードで分からない箇所があったら、分かるまでAIに聞いてください。
相手はAIなので、何回聞いても嫌な顔をしません。ここは遠慮する必要がまったくない部分です。

「なぜここでこの書き方をしたのか」「この行がないとどうなるのか」
この2つを聞くだけで、貼っただけのコードが自分のものになります。

ルール4:先に自分の仮説を書いてから聞く

AIに質問する前に、必ずこの4つをメモします。

1. 何が起きているか(エラー文・症状)
2. 原因はどこだと思うか(仮説)
3. すでに試したこと
4. 次に試そうと思っていること

メモを書いている途中で、自力で解決してしまうことがよくあります。
それが本来の「考える」という作業です。

ルール5:「答えを書かないで」と明示する

「私は学習中です。答えのコードは書かないでください。

私が自分で気づけるように、確認すべき場所と考え方だけ教えてください。」

これだけで、AIは答えを出す機械から、ヒントをくれる先生に変わります。


質問の仕方が上手くなると、一気に伸びます

僕が伴走したSさんは、6カ月でエンジニア転職しました。

その過程で面白かったのが、Laravelの流れを理解できたタイミングで、ChatGPTへの質問の仕方まで上手くなったことです。

順番が逆ではありません。
理解が先で、質問の質は後からついてきます。だから、分かっていない段階でAIに丸投げしても、力は伸びないんですよね。

✕ 依存している使い方

「Laravelでログインしても画面が表示されません。直してください」

○ 健全な使い方

「Laravelでログイン後にリダイレクトされず、画面が真っ白になります。

ルーティングは設定済みで、認証自体は通っているようです(ログには成功と出ています)。

原因はビューの読み込みかMiddlewareのどちらかだと考えています。

答えは書かず、切り分けの手順だけ教えてください。」

後者は、質問を書いた時点で頭の中が整理されています。
この整理する力が、現場で一番求められる力です。


「思考ログ」をつけると依存は防げる

僕が教えるときに必ずやってもらうのが、この記録です。

項目記入例
実装内容ログイン機能
なぜこの実装?Laravel標準の認証機能を使った
詰まったことログイン後に画面が真っ白になる
試したことログ確認/ルート定義を見直し
原因ビューのファイル名が違っていた
学んだこと真っ白なときはまずログを見る

書くのは5分です。
これを毎回書いている人は、AIを使っていても依存になりません。書くために、必ず理解する必要があるからです。


よくある質問

Q. 使わないほうがいいですか?
A. いいえ。現場では全員が使っています。ただ僕の場合、ほとんどのコードは今も自分で書いています。禁止するかどうかではなく、任せる場所を決めるのが正解です。

Q. 未経験の最初のうちはどうすべき?
A. 最初の2カ月(HTML/CSS/JavaScriptの基礎)だけは、「答えをもらう使い方」を封印することをおすすめします。ここでエラーを読む力が決まります。

Q. 面接でAIを使ったと言っていいですか?
A. 言って問題ありません。むしろ隠すほうがリスクです。「どこを自分で決めて、どこをAIに任せたか」を説明できれば、プラスに評価されます。


まとめ

  • 現場の線引きは「決まっている作業はAI、これから決める判断は自分」
  • AIに任せるのは、機械的な書き換え・同じ実装の繰り返し・シーダーなど
  • 構成とDB設計は絶対に自分でやる
  • 面接で聞かれるのは「このボタンを押したらどうなっているか」
  • 学習中はエディタに組み込まず、ブラウザ版をコピペで使う
  • 書かせるときは「初学者が読めるコードで」「自分の書き方に合わせて」と指定する
  • 理解が先。質問の質は後からついてくる

AIは敵ではありません。僕も使っています。
ただ渡してはいけないものを渡すと、面接で必ず崩れます。そこだけ気をつけてください。

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