「OJTで育てている」と言いながら、実際には現場に放り込んでいるだけになっていないでしょうか。

OJTは本来もっとも効率のいい育て方です。
それがうまくいかないときは、決まった原因があります。


結論:OJTは「仕組み」がないと成立しない

OJTが失敗するとき、原因はほぼこの3つです。

  • 担当者にすべてを任せている(属人化
  • いつまでに何ができればいいのかが決まっていない(目標の不在
  • 教える時間が業務として確保されていない(時間の未確保

3つ目がとくに深刻です。
「自分の仕事をやりながら、空いた時間で教えて」は、実質「教えなくていい」と同じ意味になります。


失敗のパターン

パターン1:教える人によって内容が違う

Aさんは「まず全体を理解しろ」と言い、Bさんは「動かしてから覚えろ」と言う。
未経験者はどちらが正しいか判断できず、指示を受けるたびにやり方を変えます。結果として何も身につきません。

パターン2:手が空いている人が担当になる

「今、案件が空いているからお願い」で決めると、案件が決まった瞬間に指導が止まります。
担当が変わるたびに、本人は最初から関係を作り直すことになります。

パターン3:作業だけ渡している

テストのエビデンス取り、資料の修正、データ入力。
これらは仕事ではありますが、繰り返しても技術は伸びません。半年続けると、本人は「自分は成長していない」と感じて辞めます。

パターン4:質問を遠慮させている

先輩が忙しそうにしているだけで、未経験者は聞けなくなります。
悪気がなくても「今いい?」と聞きにくい空気が、育成速度を半分にします。


立て直すための4つの手順

手順1:3カ月後の到達点を1つ決める

「一人前になる」ではなく、判定できる形で書きます。

例:「既存機能に検索条件を1つ追加する改修を、レビュー1往復で通せる」
これなら、できたかどうかが誰の目にも分かります。

手順2:教える時間を業務として確保する

週2時間でいいので、カレンダーに入れて工数として認めること。
「空いた時間で」と言われた指導は、必ず後回しになります。

手順3:担当を1人に固定する

技術力より、教えることを苦にしない人を選びます。
そのうえで、その人の評価に育成の項目を入れてください。評価されない仕事は続きません。

手順4:記録を残す

週に3行でかまいません。「何をやったか」「どこで詰まったか」「次に何をするか」。
これがあると担当が変わっても引き継げますし、営業が客先に説明できる材料にもなります。


社内でやるべき部分・外に出せる部分

OJTのすべてを社内で抱える必要はありません。
分けて考えると、負担が一気に下がります。

内容どこでやるか理由
案件固有の仕様・業務知識社内その現場にしかない情報
社内ルール・報告の仕方社内会社ごとに違う
評価・キャリアの面談社内会社にしか決められない
言語・フレームワークの基礎外に出せるどこで学んでも同じ
日々の技術質問外に出せる回数が多く、負担が大きい
コードレビュー外に出せる基準を統一しやすい

下3つを外に出すだけで、先輩の指導時間の多くが戻ります
社内に残るのは、社内にしかできない部分だけです。


よくある質問

Q. OJTの担当者が「教え方が分からない」と言います
A. 教え方の問題ではなく、目標が決まっていないことが多いです。3カ月後の到達点を決めれば、そこから逆算して今日やることが決まります。

Q. 現場が忙しくて時間が取れません
A. その状態でOJTを続けると、未経験者と担当者の両方が疲弊します。週2時間も取れないなら、技術部分は外に出すのが現実的です。

Q. OJTと研修はどちらが先ですか?
A. 基礎の研修が先です。土台がない状態でOJTに入れると、指示の意味が分からず、担当者の負担だけが増えます。


まとめ

  • OJTの失敗は、属人化・目標の不在・時間の未確保の3つが原因
  • 「空いた時間で教えて」は、教えなくていいと同じ意味になる
  • 到達点は判定できる形で1つだけ決める
  • 担当は技術力ではなく、教えることを苦にしない人を選ぶ
  • 技術の基礎・質問対応・レビューは外に出せる

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